『ワンダーエッグ・プライオリティ』は、公式に打ち切りが宣言された作品ではありません。全12回のテレビ放送と、2021年6月29日に放送された特別編をもって、映像作品としての制作は終了しています。
ただ、特別編を最後まで見ても「これで本当に終わり?」という手応えが残りにくい構成になっています。フリルは脅威のまま残り、ねいるはアイの前から消え、アイがねいるを探しに行く決意を固めたところで画面が終わるからです。
ここでは、なぜ打ち切りという言葉が出てくるのか、公式に確認できる展開はどこまでなのかを整理します。
特別編まで見ても「終わった」と思えない理由
テレビ放送の最終回にあたる第12回と、その3ヶ月後に放送された特別編。この2つを見ても、物語が閉じたという感覚を持ちにくい視聴者は少なくありません。原因は尺の問題と、未回収のまま残った物語の核心にあります。
第12回で止まった話と、3ヶ月後に届いた特別編
2021年3月30日に放送された第12回「負け犬は誰だ」は、フリルとの対峙や小糸の死の真相に踏み込みながら、時間切れのような形で終わりました。その場で「特別編」の制作が発表され、PVも公開されています。
放送中にはすでに制作の遅れが見えていました。第8回は予定になかった総集編「明るい友達計画」に差し替えられており、当時CloverWorksは『ホリミヤ』『約束のネバーランド 第2期』など複数作品を同時に抱えていた時期です。
特別編は6月29日、1時間枠で放送されました。しかしそのうち前半の約20〜25分はテレビシリーズの振り返りに充てられ、新規パートは実質30分ほどしかありません。特別編の1時間枠のうち、新しい物語が始まるのは後半からで、フリルとの決着もねいるの帰還も、その30分では描かれませんでした。
フリルもねいるも決着がつかないまま画面が終わる
特別編の終盤で明かされるのは、ねいるの正体がAIだったという事実です。フリルから「あちら側に来れば人間になれる」と誘われたねいるは、アイに「アダム君」を託したまま消えます。アイが電話をかけても応答はなく、物語はそこで止まります。
フリルは少女たちの自殺の元凶として描かれながら、最後まで決着がつきません。アカと裏アカが少女たちを「エロスの戦士」として育成していた実験の行方も、説明されないまま幕が下ります。
復活した小糸もまた、アイが知っている小糸ではありませんでした。パラレルワールドから呼び寄せられた別の小糸であり、アイとの記憶を一切持っていません。再会の場面は、暖かさよりも距離感が前に出る描写です。
BD第3巻の特典ドラマCD『アニバーサリー』では、アイが転校し、リカや桃恵との連絡も途絶えたことが語られています。共に戦った4人が再び揃う可能性は、このドラマCDで閉じられました。
公式が出しているものと、出していないもの
打ち切りという言葉が広まった一方で、公式側は一貫してこの作品を「完結」として扱っています。ただし、続編を匂わせる動きもありません。
Blu-ray全3巻の中身と「完結」の扱い
Blu-ray&DVDは全3巻構成で、第3巻が最終巻です。第10回から第12回に加えて特別編を収録しており、パッケージとしてはここで区切りがつけられています。
| 巻数 | 発売日 | 収録内容 |
|---|---|---|
| 第1巻 | 2021年3月24日 | 第1回〜第4回 |
| 第2巻 | 2021年5月26日 | 第5回〜第9回 |
| 第3巻(最終巻) | 2021年8月25日 | 第10回〜第12回、特別編 |
本作はアニメオリジナル作品であり、原作となる漫画やライトノベルは存在しません。コミカライズも行われておらず、映像とドラマCDだけが公式の物語です。
続編や2期の発表はあるのか
2021年8月のBD第3巻発売以降、第2期・劇場版・OVAなど新規映像に関する公式発表は一切出ていません。
脚本を手がけた野島伸司にとって本作はアニメ初挑戦であり、もともと1クール完結を前提としたドラマ形式の脚本でした。続きを作るためのストックも存在しないとされています。制作を担当したCloverWorksも現在は別の作品を複数抱えており、完結済みのオリジナル作品の続編に着手する動きは確認できません。
若林信監督は公式サイトのインタビューで、野島伸司の脚本からラストシーンを大幅に変更したことを示唆しています。「アイを徹底的に追い込み、別れと後悔をもう一度経験させたかった」と語っており、脚本段階とは異なる着地点をあえて選んだことが、視聴後の釈然としない感覚につながっている面はあります。
公式の言葉を借りれば完結ですが、ねいるを探しに行くと決めたアイのその後が一切描かれていない以上、終わったと言い切れる人は少ないはずです。特別編を含む全話は主要な配信サービスで視聴できます。

