『六花の勇者』は打ち切りなのか? 8年以上新刊が出ない理由

『六花の勇者』は打ち切りなのか? 8年以上新刊が出ない理由

『六花の勇者』は、出版社からも著者からも打ち切りとは発表されていません。ただし、小説本編の第6巻が出たのは2015年7月で、それから10年近く新刊が刊行されていないのも事実です。

止まり方が厄介でした。第6巻のラストで、主人公アドレットがフレミーに向けていた感情はテグネウが植え付けた偽物だったと明かされ、アドレットがかつての憎悪を取り戻した状態で物語はそのまま途切れています。結末ではなく、崩壊の途中です。

「打ち切り」で検索する人が多いのは、この止まり方のせいでしょう。

目次

アドレットの愛が嘘だったところで止まっている

物語が中断した場面を具体的に見ると、「打ち切り」という言葉が出てくる理由がわかります。

第6巻ラストで何が起きたか

勇者たちは凶魔の統率者テグネウを追い詰めます。しかしテグネウは死に際、アドレットに「呪い」の真実を告げました。アドレットがフレミーを守り続けてきた動機、あの絶対的な愛情は、テグネウの能力で強制的に刷り込まれたものだった、と。

愛を失ったアドレットは、フレミーを「姉を殺した凶魔」として憎む元の感情に引き戻されます。精神的に崩壊した主人公、未解決の「黒の徒花」の正体、魔神の完全復活。すべてが宙に浮いたまま第6巻は終わります。

物語の根底がひっくり返った直後に止まっているため、読み終えた人ほど「この先があるはずだ」と感じやすい構造です。

アニメ最終回の「また七人」

アニメ版は全12話で、原作第1巻の内容を消化して終わっています。最終回ではアドレットがナッシェタニアを七人目の偽物として特定し、神殿の結界トリックを解き明かしました。

ただ、事件が解決した直後にロロニアという少女が現れ、その手の甲にも勇者の紋章がある。偽物を排除したはずなのに、再び七人になるという場面で幕が下ります。原作通りの展開ですが、アニメだけを見た人には「解決を放棄して終わった」ように映りやすく、これも打ち切り説が広まった一因です。

打ち切りと言われるが、公式には何も出ていない

形式上のステータスは「続刊未定」であり、終了でも完結でもありません。各メディアの状況を確認します。

小説・漫画・アニメはどこまで出ているか

メディア巻数・話数最終刊行・放送
小説(本編)全6巻2015年7月(第6巻)
小説(短編集)Archive12016年3月
漫画全4巻2015年7月(最終巻)
アニメ全12話2015年7月〜9月放送

小説・漫画・アニメとも電子書籍や配信サービスでの販売・配信は続いており、絶版にはなっていません。2016年3月のArchive1がシリーズ最後の物理的な刊行物です。

漫画版の「完結」と原作は別の話

漫画版は全4巻で「完結」と表記されています。ただし、これは原作小説の第1巻に相当する部分をコミカライズしたものです。物語全体の6分の1程度しか進んでいません。

電子書籍ストアで「完結」のラベルを見かけると、シリーズ全体が終わったように読めます。実際には漫画としてのプロジェクトが区切りを迎えただけで、原作の物語は第6巻の崩壊の途中で止まったままです。

山形石雄の沈黙と、再開の手がかり

著者の山形石雄は、『戦う司書』シリーズで知られる作家です。本作の刊行が途絶えた2016年以降、X(旧Twitter)やブログでの進捗報告はなく、他作品の新刊情報も確認できていません。

「プロットの矛盾を指摘されて書けなくなった」という噂がネット上で広まっていますが、出所も証拠もありません。ミステリー仕立ての作品だったために「プロットが破綻した」という理由が納得感を持ちやすかっただけで、推測の域を出ない話です。

再開を占う唯一の材料は、作品が絶版になっていないことです。電子書籍での販売が続いている間は出版契約が存続している可能性がありますが、著者の執筆意志や体調に関する情報が皆無のため、時期を予測する根拠はどこにもありません。正直なところ、待つ以外にできることがない状態です。

第6巻まで読んだ人にとって、集英社ダッシュエックス文庫のシリーズページに新刊予定が載るかどうかが、今のところ唯一の確認先です。公式に「終わった」と言われていない以上、続きの可能性はゼロとは言い切れませんが、8年以上の沈黙がそのまま答えになりつつあるのも否定しにくい現実です。

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