『みつばものがたり』は打ち切りなのか?漫画・小説それぞれの答え

『みつばものがたり』は打ち切りなのか?漫画・小説それぞれの答え

情報確認日:2026年5月19日。漫画版全5巻および書籍小説版3巻までの内容に触れます。

『みつばものがたり』は打ち切りで終わった作品ではありません。漫画版『みつばものがたり 呪いの少女と死の輪舞《ロンド》』は全5巻・全28話で公式に完結しており、KADOKAWA公式サイトの商品紹介では「堂々完結」と明記されています。書籍小説版も既刊3巻で刊行が続いており、Web小説版は「小説家になろう」で全91話が公開中です。

ただ、打ち切りを疑う声が出る理由もはっきりしています。

  1. 漫画版がミツバの大統領就任で幕を閉じ、対外戦争や帝政移行が描かれないまま終わった
  2. 書籍小説版の2巻と3巻の間に2年3ヶ月の空白があった
  3. Web小説版の更新が長期間止まっている

どれも商業的な打ち切りの証拠ではなく、構成上の区切りと作者の私生活の事情が重なった結果です。漫画版のラストを読むと、戦記物の決着ではなくミツバの内面の問いで閉じる構成に面食らう人はいるはずで、そこが「途中で切られた」という印象の正体に近いものがあります。

目次

漫画・小説・Webそれぞれの現在のステータス

メディアごとに状況が大きく異なるため、まず現時点の事実を整理します。

メディア最新刊・最新話ステータス
漫画版(堤りん作画)全5巻・全28話(最終話:2025年4月18日配信、最終巻:2025年7月26日発売)完結
書籍小説版(MFブックス)既刊3巻(3巻:2025年8月25日発売)未完・続刊扱い
Web小説版(小説家になろう)全91話(最新話:2025年7月26日投稿)連載中・未完

漫画版は全5巻28話で「堂々完結」

漫画版は2022年11月にカドコミで連載を開始し、2025年4月18日配信の第28話「みつばものがたり」で最終回を迎えました。単行本最終5巻は2025年7月26日に発売され、KADOKAWA公式の商品ページには「呪いと狂気の異世界ダークファンタジー、堂々完結!」と記載されています。

ニコニコ漫画での累計再生数は255万回超、お気に入り登録は5.7万件を超えており、中堅コミカライズとしてはかなり好調な数字です。不人気で打ち切られた作品の数字ではありません。

書籍小説版は3巻まで刊行、打ち切り宣言は出ていない

MFブックスから刊行されている書籍版は、2022年11月に1巻、2023年5月に2巻、そして2025年8月25日に3巻が発売されました。2巻から3巻の間に2年3ヶ月の空白がありましたが、3巻は無事に刊行されています。

3巻の物語は完結しておらず、ストーリーの途中で終わっています。KADOKAWA公式の3巻商品ページでも、完結巻としての扱いにはなっていません。打ち切りや刊行終了の公式発表も出ていません。

Web小説版が止まっている事情

「小説家になろう」で公開されているWeb版は、2017年8月の連載開始から全91話が投稿されており、現在も全話無料で読めます。最新の第91話「Happy Days」は2025年7月26日に投稿されましたが、それ以降は更新が途絶えています。

原作者の七沢またり氏は、小説家になろうの活動報告で事情を明かしています。2023年5月に第2子が生まれ、育児が多忙を極めていること、「頭の中で構想は練っているが、ガリガリとキーを叩くまでには至らない」という状況が語られています。2025年3月には「ファンタジーマップシミュレーター」で制作した大陸地図の試作を公開しており、作品への熱意が失われたわけではないことが見てとれます。

なぜ打ち切りに見えるのか。5巻で終わった漫画と、2年沈黙した小説

公式には打ち切りの事実がないにもかかわらず、検索で「打ち切り」が出てくる背景には、作品の構成と刊行ペースの両面に理由があります。

ミツバが大統領になったところで終わる漫画版の構成

漫画版の終盤では、ミツバがサンドラたち革命派を排除し、議会を制圧して共和国の初代大統領に就任します。隣国リリーアには呪いが蔓延し、敵対するプルメニア帝国の皇帝すら戦意を喪失する。恐怖政治の頂点に達したところで、ミツバは唐突に「これが”私”の夢…?」と自問を始め、物語はそこで閉じます。

この構成は、ナポレオンが権力を握った段階で区切るという歴史戦記としての明確な意図が見えるものですが、読む側からすると「ここからが本番では」という感覚が残ります。対外戦争、帝政への移行、独裁者の破滅と衰退という、歴史の最も劇的な展開が丸ごと描かれないまま終わるためです。

5巻で終わったことより、終わり方が戦記物の決着ではなく内面の問いで閉じたことの方が、打ち切り説を呼んだ本当の原因に近いです。

書籍版の2年3ヶ月の空白が生んだ誤解

書籍版は2巻が2023年5月に出た後、3巻が2025年8月まで出ませんでした。ライトノベルの続刊が数ヶ月から半年で出るのが一般的であることを考えると、2年以上の沈黙は「刊行が打ち切られた」と受け取られても仕方のない長さです。

実際、3巻発売後にKADOKAWA公式サイトへ投稿された読者レビューでは「長らく出なかったから打ち切られてたんかなと思っていたけれど無事三巻が出て良かった」というコメントが残されています。読者の不安は根拠のない噂ではなく、長すぎる沈黙が原因でした。

検索で混ざる別作品の影響

もうひとつ、検索結果にノイズを生んでいるのが荒井チェリー氏の4コマ漫画『三者三葉』です。同作は『まんがタイムきらら』で16年連載し、2018年に最終回を迎えてアニメ化もされた知名度の高い作品で、「三者三葉 終了」という検索データが「みつば」を含むキーワード全体に影響している可能性があります。作品も連載事情もまったく別のものです。

小説の続きは出るのか。3巻の伏線と作者の現在

漫画版が完結した今、読者が最も気にしているのは書籍小説版の4巻とWeb版の更新再開です。

3巻で呪いの力に限界が見え、サンドラとの亀裂が始まった

書籍3巻の終盤では、それまで無敵に見えていた呪いの力に「大きな力を使えば疲労する」という限界が初めて描かれます。ミツバを支える三人の関係にも政治的な不和が生まれ、サンドラの離反を予感させる描写が出てきます。

物語としては「崩壊のカウントダウンが始まった瞬間」で巻が終わっている形であり、ここで打ち切りになったと考えるのは早計です。ただし、4巻の発売スケジュールや制作発表は現時点でありません。3巻の売上と作者の執筆ペース次第というのが正直なところです。

作者の活動報告と、少女シリーズとの関係

七沢またり氏は『みつばものがたり』以前に『死神を食べた少女』『勇者、或いは化物と呼ばれた少女』『火輪を抱いた少女』を刊行しており、これらは「少女シリーズ」として読者に認知されています。いずれも上下巻や全3巻で完結した作品で、同じ世界線に存在することが作中で暗示されています。

過去作がすべて短く完結しているため、「みつばものがたりも同じように終わった」と捉える読者が一定数います。ただ、過去作の完結と本作の連載状況はそれぞれ別の話です。

漫画版は5巻で終わりましたが、描き下ろしエピソード「叶った夢」まで含めて読むと、ミツバの力の根源にある愛情と孤独が静かに描かれ、恐怖政治の裏側に本人すら気づいていなかった痛みがあったことが分かります。そこまで読んで初めて、この完結が打ち切りではなく意図的な区切りであることが腑に落ちる構成になっています。書籍版の4巻やWeb版の更新については、作者の活動報告を確認しながら待つ以外にありません。

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