ロードス島戦記『誓約の宝冠』は打ち切りか?小説・漫画が止まった現状と動向

ロードス島戦記『誓約の宝冠』は打ち切りか?小説・漫画が止まった現状と動向

『ロードス島戦記 誓約の宝冠』は、公式に打ち切りや制作中止が発表された作品ではない。2023年9月、角川スニーカー文庫35周年イベントで小説第2巻が「鋭意制作中」と明言され、新キャラクター「アラニア王女」のデザインまで公開されている。

ただ、現実として小説は2019年の第1巻から5年以上新刊がなく、漫画版も2021年の第3巻で止まっている。しかも小説第1巻はフレイム王ディアスの宣戦布告で幕を閉じており、不戦の誓いがなぜ破られたのかという本筋にはまだ入っていない。「打ち切りでは?」と検索したくなる気持ちは、作品を読んだ人ほどわかるはずだ。

この記事では、漫画版がどこで区切られたのか、小説第2巻がどこまで進んでいるのか、そしてなぜ「打ち切り」という言葉が出てくるのかを、公式情報をもとに整理した。

目次

漫画版「第1部完結」は何を描いて、どこで止まったのか

漫画版の終了が「打ち切り」と受け取られた経緯から見ていく。

漫画版「第1部完結」は何を描いて、どこで止まったのか

鈴見敦氏による漫画版は、月刊少年エースで連載され、全3巻が刊行された。最終巻は2021年7月発売。物語は、主人公ライルがカノン王城に幽閉された王を救出し、自らを「新たなるロードスの騎士」として名乗りを上げたところで終わる。

ライルがその名に見合う物語を歩む場面は、一コマも描かれていない。

この幕引きは、フレイム王国の侵攻をどう食い止めるか、誓約の宝冠に課された禁忌(ギアス)をどう再構築するかという物語の核心に対して、何も答えを出していない。小説第1巻の内容を丁寧にコミカライズした上で、原作のストックが尽きた地点で「第1部完結」と区切った形になる。電子書籍サイトでは「最終巻」と表記されているケースもあり、これが作品自体の終了と混同される原因になっている。

巻末にはスパークやパーンといった旧作キャラクターが登場する番外編が収録された。ファンサービスとして読める一方で、「これが本当に最後なのか」という印象を残す構成でもある。

小説・漫画・ゲームの展開を時系列で見る

日付メディア出来事
2019年8月小説『誓約の宝冠1』発売(12年ぶりの新刊)
2020年4月漫画第1巻発売
2020年12月漫画第2巻発売
2021年3月ゲーム『ディードリット・イン・ワンダーラビリンス』正式版リリース
2021年7月漫画第3巻発売(「第1部完結」)
2023年9月公式発表35周年イベントで第2巻制作中・新キャラデザイン公開

小説第2巻の「鋭意制作中」はどこまで本当か

現時点で小説第2巻について確認できる公式情報は、2023年9月のスニーカー文庫35周年特設サイトに掲載された内容に限られる。「鋭意制作中」という文言とともに、新キャラクター「アラニア王女」のビジュアルが公開された。著者は水野良、イラストは左という体制に変更はない。

この発表は、単に「やめていません」というアナウンスではなく、具体的なキャラクターデザインが動いていることを示している。編集部と著者の間でプロットや設定が進んでいなければ、新キャラクターのビジュアルは出てこない。

ただし、発売日は一切告知されていない。2023年9月以降、追加の続報も確認できていない。

5年以上新刊が出ない作品に「打ち切り」という言葉がつく理由

プロジェクトが生きていることと、読者が不安を感じることは矛盾しない。

水野良氏の作家業ともうひとつの仕事

著者の水野良氏は、株式会社ブシロードの社外監査役に就任している。コンテンツビジネスの企業で経営に関わる立場と、長編ファンタジーの執筆を並行する状態が続いている。

ただし、35周年イベントでの発表は、同氏が執筆を止めていないことを裏付けている。過去にも『ロードス島伝説』や『新ロードス島戦記』で数年の空白を経てからシリーズを完結させた実績がある。遅筆ではあっても、途中で投げ出した前例はない。

一般的なライトノベルの刊行ペース(3〜6か月に1冊)から見れば、5年以上の空白は異例だ。SNSやレビューサイトで「打ち切りだろう」「もう出ないのでは」という声が出たのは、2021年の漫画版最終巻発売直後から目立ち始めた。2022〜2023年の35周年記念期間にも小説の発売日が決まらなかったことで、その声はさらに強くなった。

始まったところで止まっている物語

本作が他の「打ち切り疑惑」作品と異なるのは、物語が途中で切られたのではなく、まだ序盤しか世に出ていないという点だ。

小説第1巻の舞台は、シリーズ前作から約100年後のロードス島。かつての英雄パーンやディードリットの仲間たちはすでにこの世にいない。その中でディードリットだけがハイエルフとして生き続け、新たな騎士ライルと出会う。大賢者ウォートがもたらした「誓約の宝冠」——戴冠した者が他国を侵略できなくなる禁忌——をフレイム王ディアスが破ったところで、物語は動き出したばかりだ。

正直なところ、ディアスがなぜ禁忌を破れたのか、かつてカシュー王が宝冠に対して「してやられた」と感じた理由は何だったのか、100年の孤独を抱えるディードリットがライルに何を見ているのか——読みたいことが全部、第2巻以降に持ち越されている。止まっているのは事実だが、終わっているわけではない。

スニーカー文庫35周年特設サイトで、第2巻制作中の告知とアラニア王女のビジュアルが確認できる。小説第1巻の詳細はKADOKAWA公式サイトに掲載されている。

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